2007年11月29日

船員保険の失われた年金記録を認める判決で、社会保険庁逆転敗訴

【本日のトピックス】
戦時中、軍に徴用されて貨物船に乗務し、船員保険に加入していたにもかかわらず、記録がないとして厚生年金を減額するのは不当だとして、石川県野々市町の桜井松雄さん(79)が、処分取り消しを求めた控訴審の判決が28日、名古屋高裁金沢支部でありました。
渡辺修明裁判長は行政側にミスがあったとして、1審の金沢地裁判決を取り消し、桜井さんの訴えを認める判決を言い渡しました。

【詳細はこちらから】
船員保険は、文字通り船員(日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り込む船長及び海員並びに予備船員)を対象とした保険で、傷病や失業、労災に備えた総合保険です。
療養の給付内容は基本的に健康保険と同じですが、船員の職業上の特性から、自宅以外の場所における療養に必要な宿泊及び食事の支給制度があります。
また、独自の年金部門もありましたが、1986年(昭和61年)に厚生年金保険に統合されました(労災に基づく年金制度は、現在も継続されています)。
それゆえ、船員保険時代の年金は、厚生年金保険から支給されることになっています。

その船員保険時代の年金にも、加入記録漏れがあったことが明らかになっています。
漏れていたのは、1950年(昭和25年)以前に船員保険の資格を失った人の記録で、1998年(平成10年)時点で約36万件ありました。
船員保険に再加入した時にコンピューター入力された記録も一部あるようですが、その多くが未入力になっているものとみられています。

今回の事例も、1950年以前の船員保険の記録です。
判決によると、桜井さんは戦時中の1943年5月から45年4月まで、貨物船に乗船していました。
ところが、43年10月に海運会社を管理していた「船舶運営会」から国に資格喪失届が提出され、その後の保険料支払い記録も無かったため、社会保険庁は年金給付対象期間を43年5月から同10月までとしていました。
これに対し、桜井さんは45年4月まで乗船して、保険料を支払っていたと主張し、訴訟を続けてきました。

この失われた昭和43年11月から45年4月までの記録が、上記の36万件の加入記録漏れに含まれるものかどうかは不明です。
資格喪失届を基に、加入記録そのものが作成されていなかった「本当に消えた年金記録」の可能性もあります。

桜井さんの主張を認める決め手となったのは、船員名簿です。
今年新たに設置された「年金記録確認第三者委員会」の年金記録申し立て基本方針の中でも、「人事記録」が肯定的な周辺事情の例として挙げられていました。
今回の判決もそれに則った形で、「船員名簿」が被保険者期間であったことを客観的に証明する証拠となりました。



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posted by 年金情報館 at 13:23 | Comment(0) | TrackBack(1) | 年金納付記録
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